CASビュー
CASビューのユーザーインターフェース
デフォルトでは, CASビュー は グラフィックスビュー の隣に表示される. これら 2 つの ビュー のどちらをアクティブにしているかによって,GeoGebra ウィンドウの上部に CASビューのツールバー か グラフィックスビューのツールバー のどちらかが表示され,右上に 元に戻す/やり直し ボタンが表示される.
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CASビュー は CAS パースペクティブ の一部であるが,GeoGebra のユーザーインターフェースのレイアウトは必要に応じて 変更することができる.
数学オブジェクトの作成
直接入力
CASビュー を使用すると,GeoGebraのCAS(数式処理システム)を利用して記号計算を行うことができる.これは,上部に 入力フィールド,下部に出力表示を備えたセルで構成されている.これらの 入力フィールド は通常の 入力バー と同様に使用できるが,以下の点が異なる:
- 値が割り当てられていない変数を使うことができる.
=
は方程式に,:=
は代入に使われる.これは,a=2
という入力が a に値 2 を代入しないことを意味する.詳細は代入のセクションを参照のこと.- 乗算は明示的にマークする必要がある.入力バー では乗算に
a(b+c)
とa*(b+c)
の両方を使うことができるが, CASビュー ではa*(b+c)
だけが有効である.
直接入力のためのキーボードショートカット
GeoGebra デスクトップ版の CASビュー では,以下のキーボードショートカットが入力を計算したり確認したりするのに役立つ.
- Enter: 入力を計算する.
- 代入は常に評価される.例:
a := 5
と入力すると,a := 5
と出力される. - 例えば
a := 5;
のように,入力の最後にセミコロンを付けて出力を抑制することもできる.
変数の割り当てと他のビューとの接続
b := 5
, a(n) := 2n + 3
のように,代入に :=
表記を使うことができる.
- 名前を解放する:変数名を再度使用可能にするためには,
Delete(b)
を使用する. - 変数や関数の再定義:変数や関数を再定義することは可能であるが,それは同じセル内で行わなければならない.そうでない場合,新しい変数として扱われ,自動的に名前が変更される.
変数と関数は,可能な限り常に CASビュー と他のビュー間で共有される.例:
- CASビュー で
b:=5
を定義すると,GeoGebra の他のすべての ビュー で b を使うことができる. - 別の ビュー で関数
f(x)=x^2
を定義した場合, CASビュー でもこの関数を使用できる.
:=
の後の式だけになる.例えば,b:=5
と入力した場合,出力は 5 になる.また,実際には b := 5 が表示されることにも注意する.方程式
- 例えば,
3x + 5 = 7
のように,単純な イコール 記号を使って方程式を書くことができる. - 算術演算:方程式に対して算術演算を行うことができ,手動で方程式を解くのに便利である.例:
(3x + 5 = 7) - 5
は,方程式の両辺から5を引く. - 片方の辺の抽出:
LeftSide()
コマンドとRightSide()
コマンドを使用すると,方程式の左辺または右辺を抽出できる.例:LeftSide(3x + 5 = 7)
は, 3 x + 5 を返し,RightSide(3x + 5 = 7)
は 7 を返す.
行の参照
CASビュー で他の行を参照するには2つの方法がある:
- 静的な行参照 は出力をコピーし,その後 参照された 行が変更されても更新されない
#
: 前の出力をコピーする.#5
: 5行目の出力をコピーする.
- 動的な行参照 は実際の出力ではなく,別の行への参照を挿入する.そのため.参照された 行が後に変更された場合,その参照も更新される
$
: 前の出力への参照を挿入する.$5
: 5行目の出力への参照を挿入する.
CASコマンド
GeoGebraには, CASビュー でオブジェクトを作成するために使用できる幅広い CASコマンド がある.コマンド を 入力フィールド に入力し始めると,GeoGebraは入力に合致する コマンド のリストが表示される.
CASビューのツールバー
CASビューのツールバー には,入力を評価し計算を行うための様々な CASツール が用意されている.入力をして,その後で対応する CASツール を選択するだけで,入力に適用できる.
コンテキストメニュー
行ヘッダーのコンテキストメニュー
GeoGebra デスクトップ版では,行のヘッダを右クリック(MacOS:Ctrl-クリック)すると,以下のオプションを含む コンテキストメニュー が表示される:
- 上に挿入: 現在の行の上に空の行を挿入する.
- 下に挿入: 現在の行の下に空の行を挿入する.
- 行を消去: 現在の行の内容を削除する.
- テキスト: 計算結果そのものか,その結果に関するユーザーのコメントを含むテキスト表示かを切り替えることができる.これによりユーザーはコメントを挿入することが可能になる.
- LaTeXとしてコピー (GeoGebra ディスクトップ): 現在の行の内容をコンピュータのクリップボードにコピーし,例えばテキストオブジェクトなどに貼り付けることができる.
- メモ: 複数のCASの行の内容をLaTeXとしてコピーするには,Ctrlクリック(MacOSではCtrl-クリック)で必要な行を選択し,行のヘッダー上で右クリック(MacOSではCtrl-クリック)して LaTeXとしてコピー を選択する.
セルのコンテキストメニュー
GeoGebra デスクトップ版では,CAS 出力セルを右クリック(MacOS では Ctrl-クリック)すると,以下のオプションを含む コンテキストメニュー が表示される:
- コピー: セルの内容をコンピュータのクリップボードにコピーする.次に,貼り付けオプションを表示するには,新しいセルを右クリックする.
- LaTeXとしてコピー: セルの内容をLaTeX形式でコンピュータのクリップボードにコピーし,テキストオブジェクトやLaTeXエディタに貼り付けることができる.
- LibreOfficeの数式としてコピー: セルの内容をLibreOfficeの数式形式でコンピュータのクリップボードにコピーし,ワープロ文書に貼り付けることができる.
- 画像としてコピー: セルの内容をPNG形式でコンピュータのクリップボードにコピーし,イメージオブジェクトやワープロ文書に貼り付けることができる.
数学オブジェクトの表示
CASビューのスタイルバー
CASビューのスタイルバーには,以下のボタンがある.
- : テキストのスタイル( 太字 と 斜体)と 色を変更する
- : 仮想キーボードを表示する (GeoGebraデスクトップ)
- :GeoGebraウィンドウに追加のビュー を追加する(GeoGebraウェブ・タブレットアプリ)
グラフィックスビュー にCASオブジェクトを表示する
CASビューでは,各行の左側にあるアイコンが,可能であればその行で定義されたオブジェクトの現在の表示状態(表示または非表示)を示している. グラフィックスビュー でオブジェクトの表示状態を変更するには, オブジェクトの表示/非表示 の小さなアイコンを直接クリックする.